部位別の口内炎

部位別の口内炎

口内炎の中でも、最も辛いといわれているものが、舌にできる口内炎です。舌は、味や熱さを感じる働きの他に、口の中に入った食べ物を食べるのを助け、喉に送ったり、発音では重要な働きをします。おいしい食事をするのも、楽しい会話をしたり、歌を歌ったりするためにも、舌は大切です。舌に口内炎ができると、できた場所にもよりますが、舌を動かす度に痛みが出ます。舌の側面にできた場合、常に歯に接触しますし、舌の根本の辺りにできた場合は、少しでも舌を動かすと痛みが走ります。食べ物を食べるにも、おしゃべりをするにも痛みがあり、不快な気分になります。

 

舌には、ほとんどの口内炎が発症する可能性があります。カンジダ性口内炎では、白い苔状のものが付着したり、ひどくなると、地図の模様のように、白い苔がこびりついた状態になったり、舌や口の中全体が赤く炎症を起こすこともあります。アフタ性口内炎の場合は、舌の表面はもちろん、側面や根本部分、舌の裏側にできることもあります。飲食中に誤って舌を噛んでしまった場合、上の歯と下の歯で噛んだ部分に、1つずつ口内炎ができ、後からくっついてしまうこともあります。舌の口内炎の治療は、軟膏をつけても、すぐに取れやすく、薬の味を感じやすいので、不快を伴います。また、何をするにも、動く器官でもあるので、再度噛んでしまい、悪化させることもありますので、注意が必要です。

 

 

【一口メモ】
舌のアフタ性口内炎と初期の舌ガンの症状が似ているといわれます。舌ガンには、いくつかの種類がありますが、最も多いものが、潰瘍性舌ガンです。この、潰瘍性舌がんの初期症状が、アフタ性口内炎や、舌を誤って噛んでしまったり、入れ歯が舌をこすってしまうなどでできる、外傷性潰瘍と似ているといわれています。しかしよく見ると、違う部分があり、見た目で違いを判断することができます。アフタ性口内炎や外傷性潰瘍は、縁がなめらかな円形や楕円形に対し、舌ガンの場合は、縁がギザギザしています。また、口内炎は、周囲に赤みがあるのに対し、舌ガンでは、周囲が硬いといわれています。舌ガンは、口内炎や外傷性潰瘍よりも、痛みが軽く、また、発症している部分の症状の出方での判断が最もわかりやすいでしょう。また、口内炎や外傷性潰瘍は、2〜3週間で治りますが、それ以上長引く場合は、病院で診察を受けましょう。

口内炎は、口の中の粘膜のいたるところにできますから、喉にできることもあります。口内炎が喉の奥の方にできたりすると、直接見ることもできないので、食べ物を飲み込む時に喉が痛むとか、しみるので病院で診てもらったら、口内炎ができていたということもあるようです。逆に、喉が痛いから口内炎ができていると思って、病院を受診したら、口内炎ではなく、扁桃腺が腫れていたということもあります。喉の口内炎も、舌の口内炎と同じくらい辛いといわれるほど、辛いものです。喉は、口の中に入ってきた物を体内に入れるために必ず使う器官です。喉に口内炎ができると、食べ物を飲み込むことが困難になるだけでなく、唾液を飲み込むことや、ひどい時は、お茶などの飲み物を飲み込むことも辛い状態になります。

 

喉に口内炎ができる原因は、健康不良や胃腸障害、口の中が不衛生など他の口内炎の原因と一緒です。また、喉は口の中でも奥にあり、誤って噛んだりすることはありませんが、歯ブラシなどを口に入れたときに、誤って喉に傷をつけてしまうことが原因でできることもあるようです。乳幼児に喉の口内炎ができたときは、ヘルパンギーナという病気であることがあります。ヘルパンギーナは、乳幼児に流行しやすい夏かぜの一種で、喉の奥の方に水ぶくれのような口内炎ができます。口内炎は、喉の上の方に、左右対称にできるのが特徴で、片方だけにできる場合もあります。突然高熱を出し、喉の口内炎のため、飲んだり食べたりすることを嫌がります。

 

喉の口内炎は、他の部分にできる口内炎とは違い、自分で、薬を塗ったり、貼ったりすることができないことがあります。口内炎の時は、栄養を摂る必要がありますが、食べ物を摂取することが辛い状態ですので、早めに病院を受診しましょう。病院によっては、診察した時に、口内炎に薬を塗ってくれたり、内服薬を処方したり、栄養点滴をしてくれることもあります。

口内炎というと、ほとんどの人は、頬の内側や舌などの粘膜に表面が白っぽい丸い潰瘍をイメージしますが、歯茎が赤く腫れたりすることも口内炎に含まれます。歯茎は、歯肉とも呼ばれ、歯の歯根部を囲み、固定しています。正常な歯茎はきれいなピンク色をしていますが、貧血がある場合は白色に、炎症がある場合は赤色になり、色素沈着で黒色になる場合もあります。

 

歯茎にできる口内炎に、代表的なアフタ性口内炎はもちろんですが、壊死潰瘍性口内炎というのがあります。子供がかかりやすい口内炎で、歯茎や口の中の粘膜がただれて出血することもあります。口の中が痛いため、食欲は落ち、よだれが増え、口臭も強くなります。壊死潰瘍性口内炎は、身体の抵抗力が弱っている時に、口の中の細菌が増殖して起こります。壊死潰瘍性口内炎の治療は、抗生物質の塗り薬やうがい薬を使用し、体力回復や口の中を清潔に保つことを心がけます。

 

ヘルペス性口内炎では、口の周りや口の中に水泡状の口内炎が出てくると共に、歯茎が炎症を起こし、赤く腫れることがあります。40度近くの高熱を出し、口の中もひどく痛みます。ヘルペス性口内炎も乳幼児に多い口内炎で、口の痛みのために、水分が十分に摂ることができず、脱水症状を起こすこともありますので、注意が必要です。

 

 

【一口メモ】
歯茎は、歯肉とも呼ばれ、次の3つの部位に分かれて呼ばれています。
●遊離歯肉…歯頸部という歯の見える部分と根の部分の境目の周りを囲んでいる歯肉のことです。
●付着歯肉…歯を支えている歯槽骨に着いて動かない歯肉のことです。
●乳頭歯肉…歯と歯の間にある歯肉のことです。

唇にできる口内炎は、唇の端があれたり、ただれたりするものが多く見られます。唇の口内炎で、ヘルペス性口内炎は、特徴的な現れ方をします。ヘルペスに初めて感染すると、唇や口の中に小さな水ぶくれがたくさんできます。1歳〜3歳くらいに発症することが多く、発熱や不快感を伴い、歯肉が赤く腫れ、出血しやすい状態になります。2回目以降のヘルペス性口内炎は、再感染ヘルペスといわれますが、再び感染したわけではなく、最初に感染したヘルペスが再活性することで起こります。その場合、唇や唇の周りに、水ぶくれのようなただれが数個集まって起こることが多いといわれています。

 

口角炎も、唇にできる口内炎のひとつです。口角炎は、口の端である口角に、炎症を起こし、ただれたり、亀裂が入り出血したり、かさぶたができます。口角炎は口内炎の一種ですから、体力低下やビタミン不足などが原因で発症する他に、よだれや唇を舐める癖も原因のひとつといわれています。また、カンジダや細菌が感染したり、ペルペスが原因で口角炎になる場合もあります。

 

アフタ性口内炎は、唇の表面ではなく、唇の内側を誤って噛んだりすることで起こります。噛んでしまっったことでできるアフタ性口内炎は、上の歯で噛んだ部分と下の歯で噛んだ部分の二つの円形の潰瘍ができる場合があります。栄養状態が悪かったり、ストレスなどで抵抗力が低い場合は、となり合った口内炎が合体し、さらに大きな口内炎になることもあるので、注意が必要です。